環境がサスティナブルな国ランキング [2020年]

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2020年版の環境がサスティナブルな国ランキングが、EPI(Environmental Performance Index)より発表されました。このランキングは、特に環境のサスティナビリティに焦点を当て、「生態系(エコシステム)の持続力」と「環境衛生」を評価した結果が反映されたものです。対象180ケ国の、サスティナブルな(持続性のある)環境の開発と維持への取り組みが評価されています。

ご存知の方も多いと思いますが、昨今よく聞く「サスティナブル」は、包括的な持続性を指しているケースと、ある特定の分野に於ける持続性を指しているケースがあります。例えば、国がサスティナブルかどうかは、環境だけでなく「人、環境、自然の持続性」を総合評価するケースが一般的です。その場合は、評価対象のクライテリアは、環境に加え、自然資源、人的資源などを含む、全5カテゴリーを総合して評価されます。

話が逸れましたが、今回は、環境がサスティナブルな国に焦点を当てた、ランキングをみていきます。日本が、2020年が終わった時点で、どのくらいサスティナブルな環境を開発・維持できているのか気になりますね。

環境がサスティナブルな国ランキング [2020年]

結果は、180ケ国を対象にして行われたもので、2020年度末のランキングです。EPIによるデータ統計・解析によるものです。

[2020年版] 環境がサスティナブルな国 上位20

順位国名順位国名
1デンマーク11オランダ
2ルクセンバーグ12日本
3スイス13オーストラリア
4イギリス14スペイン
5フランス15ベルギー
6オーストリア16アイルランド
7フィンランド17アイスランド
8スエーデン18スロベニア
9ノルウェー19ニュージーランド
10ドイツ20カナダ・チェコ・イタリア
参照元:Environmental Performance Index

日本は、環境がサスティナブルな国 12位。上位は、やはりサスティナブル先進国のヨーロッパの国々で占められていますが、アジアで唯一20位以内にランクインした日本の意識の高さを感じる結果と言えるでしょう。ただし、残念ながら、過去10年間のスコアに比べ、評価は徐々に下がってきています。アジアをリードする国として、今後も改善できると良いですね。

その他、表からは外れましたが、アメリカは24位、アジアからは、韓国が28位へランクインしています。

どうして12位?環境のサステイナブル度のチェック方法

さて、上記のランキング、環境がどのくらいサスティナブルなのかは、「環境衛生」と「生態系(エコシステム)の持続力」をチェックし、評価しているそうです。少しわかりにくいので内訳を見てみましょう。

環境衛生の状況は、評価の40%を占めます。内訳として、大気汚染の状況 (20%)、上下水道の状況(16%)、固形廃棄物の量(2%)、鉛の廃棄量(2%)が評価されます。例えば、大気汚染の状況を調べるには、PM2.5の排出量 (11%)、家庭に於ける燃料の消費状況(8%)、そしてオゾン汚染の状況(1%)の評価となっています。

一方、生態系(エコシステム)の持続力は、評価の60%を占めます。内訳として、気候変動へのインパクト (24%)、生物多様性と生物の住処の状況 (15%)、森林伐採の状況 (6%)、水産業の状況 (6%)、水資源の状況 (3%)、汚染物質排出状況 (3%)、農業の状況(3%) となっています。例えば、気候変動に関しては、CO2の排出状況など、気候変動に影響を及ぼす幾つかのカテゴリーを評価します。

詳しくは、EPIが定義している、下記の表を参照してみてください。

参照元:Environmental Performance Index

日本のスコアと課題は?

どうして日本は12位だったのでしょうか?そして、今後どのような課題が残されているのでしょうか?早速、内訳をみてみましょう。

環境衛生

項目ランクスコア過去10年の変化
環境衛生1490.3+0.4

環境衛生の分野では、全体で14位となっています。過去10年で、全体で少しずつ改善されてきています。

特にスコアに悪影響を及ぼしたのは、PM2.5による大気汚染の悪化と、飲料水の質の2点です。この2点は、評価の際にウエイトが重いので、ランクに影響してきます。また、過去10年で見ると、PM2.5の大気汚染は進んでおり改善されていないとの評価。飲料水に関しては、結果は思わしくないものの、改善してきているとの評価でした。
他、結果にはあまり影響を及ぼしていないのですが、有害物質処理マネジメントについては、全体で25位とかなり悪い成績となっています。詳しいことは発表されていませんが、核廃棄物などがこれに相当するのではと思います。

生態系(エコシステム)の持続力

項目ランクスコア過去10年の変化
生態系(エコシステム)の
バイタリティー
1665.1-0.9

生態系(エコシステム)の持続力は、全体では16位。過去10年では、悪化してきていると言わざるを得ない状況のようです。

特に悪化しているのが、「種の存続に必要な環境の維持/保護」「森林の消失」「草原の消失」「過剰漁業」「底引網漁業による悪影響」「フッ素化ガスの増加」「二酸化硫黄の増加率」の7点です。それぞれのスコアは下記の通りです。

項目ランクスコア過去10年の変化
種の存続に必要な環境の維持/保護13468.6-28.6
森林の消失4342.9-0.8
草原の消失16319.6-10.9
過剰漁業1041.1-3.7
底引網漁業による海底への影響367-1.6
フッ素化ガスの増加9987.6-6.8
二酸化硫黄の増加率10856.4-43.6

スコアからみてもわかるように、種の存続に必要な従来の自然環境の維持、保護に関しては、非常に厳しい状態になってきていると言わざるを得ない状況でしょう。植林ではなく、元々の森林や草原を失うことで、種の存続に必要な環境が失われていると言う見方もできると思います。

二酸化硫黄に関しては、ちょっと馴染みがないかもしれませんが、これらは、石油や石炭などの化石燃料が燃える際に発生するそうです。また自然発生では、火山などがこれにあたります。ただし、火山を保有する先進国でも、増加をゼロに抑えている国も多く、1位を取れている国もあるので、化石燃料からクリーンエナジーへの切り替えによって、改善可能と思われます。

まとめ

日本は全体のスコアが良いのですが、生態系を守るための努力により、今後より良い結果が出ると言えるでしょう。現在残っている手付かずの自然を維持し守ることや、森林や草原の再生、そしてクリーンエネルギーへの切り替えがキーとなることでしょう。

個人レベルでできることは、見えにくいと思いますが、例えば、ソーラーパネルなどのクリーンエネルギーの利用、森林や草原の保護団体の支援、ガーデニングをする際には、外来種ではなく、野の花や雑草を一部に残すと言うのも、小さなことですが、生態系を支えることに繋がります。

参照元
Wendling, Z.A., Emerson, J.W., de Sherbinin, A., Esty, D.C., et al. (2020). 2020 Environmental Performance Index. New Haven, CT: Yale Center for Environmental Law & Policy. epi.yale.edu

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